プレスリリース

2018年10月23日

窒化アルミニウム3)の耐水性を大幅に改善

酸化グラフェン2)による新規表面改質技術を開発〜

 株式会社KRI(本社:京都市下京区、社長:田畑 健)は、一般の窒化アルミニウムに酸化グラフェン表面改質技術を適用することで、窒化アルミニウム表面と水との接触を遮断し、窒化アルミニウムの耐水性を大幅に改善させることに成功しました。

【概要】

  • @ 既に開発している酸化グラフェンによる窒化ホウ素表面改質技術を窒化アルミニウムに適用すると、表面改質技術を適用しない窒化アルミニウムと比べて、大幅な耐水性の改善が起こることを見出しました。
  • A この飛躍的な耐水性の改善は、窒化アルミニウム表面を覆う酸化グラフェンが耐水バリア層として機能していることが要因と考えられます。
  • B 表面改質は、酸化グラフェン非水系分散液に窒化アルミニウム粉を混ぜて、回収・乾燥するという簡単な工程で完了するという特長があります。
  • C 本技術は、窒化アルミニウムの耐水性の悪さに起因する問題点(加水分解による熱伝導性の無い水酸化アルミニウム層の生成と腐食性のアンモニア発生)を改善し、窒化アルミニウムの高熱伝導性と高絶縁性という優れた性質を活かす高熱伝導性樹脂複合材1)の開発に寄与するものと期待されます。

【背景】

 電子・通信機器の小型化やLED照明機器の高性能化に伴って、発生する熱を効率よく放熱する重要性が高まり、成形加工しやすいポリマー/熱伝導性フィラー複合材料の開発が進められています。近年、熱伝導性フィラーとして、アルミナ(30W・m-1・K-1前後)や熱伝導異方性のある窒化ホウ素よりも熱伝導性の高い窒化アルミニウム(200W・m-1・K-1前後)が注目されています。
 窒化アルミニウムは、水分との接触で加水分解を起こし、熱伝導性の無い水酸化アルミニウムと腐食性のアンモニアを生成しやすい問題があり、実用において耐水性の向上が求められています。

【本技術の特徴】

  • @ 窒化アルミニウム粒子粉末を酸化グラフェン非水系分散液に加え混合し、沈殿した粒子を回収して乾燥を兼ねた熱処理をするだけの簡便な改質方法です。
  • A 酸化グラフェンの量産が現実的となった現在、コスト面でも現実的な表面改質方法と考えられます。
  • B 酸化グラフェンは、炭素原子の六角網面を主構造とするシート状物質で、酸化による酸素含有官能基(カルボキシル基、水酸基、エポキシ基)を有しています。酸化グラフェンが吸着した窒化アルミニウム粒子を50℃以上で熱処理すると、酸素含有官能基が脱離するので、酸化グラフェンは疎水性が増して耐水バリアとして機能すると考えられます。

【今後の展開】

 本技術の応用展開先としては、サーマルインターフェースマテリアル、放熱材料などを挙げることができます。本技術に関して、用途開発研究等の受託研究を募集します。また、酸化グラフェン改質窒化アルミニウムの量産に関わる技術も同時に開発しており、こちらは委託合成先、または技術移転先を募集しています。

本件に関するお問い合せは下記までお願いいたします。
【プレスリリースに関するお問合せ先】
TEL:075−315−9242
(株)KRI 経営企画部 藤原
【技術に関するお問合せ先】
TEL:075−322−6832
(株)KRI 新機能性材料研究部長 佐藤
  新機能性材料研究部 主席研究員 在間

<用語の解説>

1) 樹脂複合材
ゴムや樹脂に、炭素材、金属、金属酸化物、金属水酸化物等の無機粒子を混合した材料であり、樹脂の機械的強度、耐熱性、熱伝導性、ガスバリア性が向上することが知られている。
2) 酸化グラフェン
酸素含有官能基(酸素原子を含む原子の集団であって、互いに共有結合でつながっている)を有するグラフェンで、炭素原子1個〜数個分の厚さを持つシート状物質。グラファイトをハマーズ法として知られる公知の方法を用いて酸化・精製・剥離処理して水分散液として得られる。
3) 窒化アルミニウム
無色または灰色をしたアルミニウムの窒化物。異方性のない高い熱伝導率(200W・m-1・K-1前後)と絶縁性を示し、電子回路の基板材料などに利用される。化学的には非常に安定した物質であるが、粉末状態の窒化アルミニウムは空気中の水と容易に反応して、水酸化アルミニウムとアンモニアを生成する。

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