プレスリリース

2012年7月26日

多孔質素材内部のぬれ性解析技術の確立

―燃料電池分野で培った技術をクールビズ繊維の高機能化への活用へ目途―

 株式会社 KRI(社長:成宮 明)は、固体高分子形燃料電池(以下、PEFCと略す)のセルを構成している多孔質素材の電極触媒層やガス拡散層内の水に対するぬれ性について研究を進めてきました。そしてこの度、多孔質素材における毛細管現象による水の移動に着目したぬれ性解析技術を確立し、水が通りやすい細孔や詰りやすい細孔を区別することに成功しました。この技術は、気体と液体の移動が重要となっているスポーツウエアやフィルターなどの多孔質素材で活用することができます。例えば、繊維の吸水拡散性の向上による高機能性ドライシャツの設計に有効な解析技術として提案していきます。

【背 景】
 PEFC開発においては、セル内で生成される水が多孔質素材の細孔を閉塞し性能低下が起こることが課題となっています。KRIでは、セル内部の現象解明へ向けて、セル内部の水に対するぬれ性1)、つまり“なじみやすさ”、“はじきやすさ”に着目し研究を進め、なじみ程度を定量化することにより水が詰まる要因について明らかにしてきました。
 一方、液体が存在する環境で使用されている多孔質素材の高機能化、高性能化のためには、実環境で使用されている液体と素材内部のぬれ性の把握が非常に重要です。我々は燃料電池技術で培った技術をもとに、高機能化させた素材と通常の素材のぬれ性が大きく異なることを見出しました。

【本技術の特徴】
 本技術はコンタクトポロシメトリ法2)を利用し、液体を含んだ多孔質の含水率だけではなく、多孔質内部に液体が存在している細孔を把握することができる手法です。
 この特徴をいかし、素材の細孔径毎の親撥水・親撥油性の数値化や実際に使用している液体における内部のぬれ性の把握、気体と液体の通過する細孔を区別することができます。また、本方法は測定によるサンプルへの機械的なダメージが無いため、物性試験、加速試験との組み合わせた解析が可能です。
 本技術と他の方法のそれぞれの特徴を以下に示します。

  本技術 他の方法
ぬれ性 素材内部のぬれ性 素材表面のぬれ性
細孔分布 気体や液体が通過できる細孔の区別及び全細孔 全細孔
含水率 細孔径毎の含水率及び素材全体の含水率 素材全体の含水率

【本技術により開発がサポートできる分野】
 本技術により、

  • @透湿防水加工などの高機能化のニーズが高まっているスポーツウエアや衣料における素材の内部のぬれ性把握による素材設計
  • Aクリーン環境で使用する気液分離フィルターと捕捉物質のなじみ程度とはじき程度の把握による素材開発
  • B活性炭に代表される浄化剤と水のなじみ程度の把握による材料開発

 といった分野への使用環境を想定した素材設計に有効な解析手法として活用できます。

【今後の展開】
 液体が存在する環境で使用する多孔質材料キーワードに、上記に示した分野の他に、保水材料や吸水材料などへ本技術の適用を考えています。

本件に関するお問い合せは下記までお願いいたします。
【プレスリリースに関するお問合せ先】
TEL:075−315−9242
(株)KRI 経営企画部 藤原
【技術に関するお問合せ先】
TEL:06−6464−9237
(株)KRI 電気化学デバイス研究室 室 長  松田
研究員  墻内

<用語の解説>

1) ぬれ性

素材とそれに接する溶媒と間のなじみやすさ、はじきやすさを表す用語
2) コンタクトポロシメトリ法

毛細管ポテンシャル平衡の原理を利用し、多孔質材料に含浸させた溶媒の脱離時の体積変化から素材と溶媒とのなじみ程度を細孔分布として定量的に評価する手法
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