プレスリリース

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平成20年10月3日

非食用のバイオマス資源「セルロース」の活用技術(3)

バイオエタノール製造に有用なセルロース分離・糖化技術を開発

― 副生成物をともなわない低温・短時間糖化処理―

  株式会社KRI(社長:成宮明)は、独自に開発したセルロースを簡便に溶解・加工する技術を用いて、バイオエタノール製造に有用なセルロース分離・糖化技術を開発しました。イオン液体、有機溶媒を用い、セルロースを含有する物質を選択的しかも効率よく加水分解し、グルコース・オリゴ糖*1類を高収率で製造する方法です。従来の方法と比べて、プロセス時間の短縮・使用エネルギーの削減が可能となります。

[背景]
  近年、バイオ燃料の生産拡大に向けて世界規模で取組みが始まっています。日本でも昨年、バイオマス・ニッポン総合戦略で、セルロース系原料からのバイオ燃料の生産拡大を図る構想が発表され、生産性を高めるための技術開発が急がれています。
  セルロースからエタノール等の燃料を生産するためには、まず、木材や草本中から有効な成分(多糖)を取り出し、単糖(グルコース)へ糖化させてから、発酵させます。
  セルロースからグルコースを生成(糖化)する方法には、酸加水分解法、酵素加水分解法、そして最近開発された超臨界水による加水分解法等が知られていますが、いずれの方法も、反応速度、収率、副生成物、コストなどに問題があり、グルコースを効率よく且つ大量に生産する上で、課題とされてきました。

[技術の特徴]
  KRIでは、セルロースを温和な条件(常圧、短時間、低温)で溶解する技術を見出しており、今回、この技術を応用して、セルロースを含有する物質を選択的しかも効率よく加水分解し、エタノール発酵に有効なグルコース・オリゴ糖類を高収率で製造する技術を開発しました。
  開発した方法では、イオン液体および有機溶媒を用いた独自の溶媒で、セルロースを完全溶解した後に、希硫酸を加え、加水分解してグルコース・オリゴ糖を製造します。

  本技術の特徴は次の通りです。

  • 反応速度が速い(水素イオンがセルロース分子に均一に作用するため)

  • 糖の収率が高い(糖化率90%以上)

  • 低温で処理できるため、フルフラール類*2等の副生成物が少ない

  •   従来法の課題であった、処理時間が短縮でき、高圧の処理が不要です。また副生成物が少ないことで、その後の発酵過程で、発酵を阻害しません。糖化終了後に、反応液を水で希釈して、酵母によるエタノール発酵ができたことを確認しており、イオン液体が存在していていも、通常条件と同様に発酵させられることが示されました。
      今回開発した方法を用いると、従来の生産性の低さを改善し、製造コストを抑えることが期待できます。
      グルコースを発酵させることで、エタノールの他、メタンや乳酸など、様々なバイオ燃料を生成する展開も考えられることから、今後、材料メーカー等と共に、セルロース分離・糖化技術を元にした実用化開発研究を行っていく予定です。

    本件に関するお問い合せは下記までお願いいたします。
    【技術に関するお問合せ先】
    株式会社  KRI

    ナノ構造制御研究部長  山口

    TEL:075−322−6832
    【プレスリリースに関するお問合せ先】
    株式会社  KRI     経営企画部   藤原

    TEL:075−315−9242

    <用語解説>

    *1グルコース・オリゴ糖

    グルコース(=ブドウ糖)は代表的な単糖の1つ。エタノール発酵の原料となる。オリゴ糖は、単糖が結合したオリゴマー(低分子量多糖)。
    *2フルフラール類

    芳香族アルデヒドの一種。
    多糖類を酸で加熱分解すると生成した単糖類がさらに反応して生成する(セルロースを加水分解した時に生成物する副生成物の一種)。発酵の阻害物質となる。
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